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多くの人の「大切な思い出」を守り、未来に残すホテル

ベリーノホテル一関 / インタビュー

インタビュー記事

一関駅から車で6分。道路に面した品のある外観が印象的な「ベリーノホテル一関」は、駅前の繁華街から少し離れた場所にあるシティホテルです。結婚式場や広い宴会場があるため地元のお客様も多く、「地域に愛されているホテル」という印象があります。その裏側には「大切な思い出の場所を未来に残していきたい」という強い思いがありました。

ベリーノホテル一関 事業概要

「ベリーノホテル一関」は、宿泊、ウエディング、レストラン、宴会、仕出しなどの事業を展開している地域密着のホテルだ。46室の客室におよそ1000平米の宴会やチャペル、神殿を併設。遠方からのお客様だけではなく、ウエディングや冠婚葬祭などで地域の方々が利用することも多い。コロナ禍で始めた仕出し弁当は「自宅でホテルのお弁当が楽しめる」と好評で、月に1000個注文が入るほどの人気商品。2022年には、開業から30周年を迎える。

地元に根を張り、後世に残るホテルへ

支配人の菊池亮さんは、高校を卒業してから20年、地元のホテル一筋で働いてきました。フロント、ブライダル、ホテル営業とあらゆる現場を経験し、30代で支配人になりました。

「これまでずっと地元のホテルで働いてきて、たくさん成長させていただきました。今はこの場所を後世まで残したいという思いでやっています。」

菊池さんは支配人になってからも現場に立ち続けています。シフト作成や備品の発注、宿泊プランの作成や在庫管理なども担当しているそう。「そんな支配人いないよね(笑)」と笑う菊池さんの表情から、大変な中でもやりがいを感じていることが伝わってきます。

「うちのホテルの一番の強みは、朝食ですね。ビジネスで宿泊されるお客様が8割で、大体の方が夜は飲みに出かけます。帰ってきたらすぐに寝ますよね。そのようにホテルでお過ごしいただく時間の中で、お客様がまた来たいと思ってもらうにはどうしたらいいかと考えたときに、朝食の質を高めようと思ったんです。」

「朝食はほとんど岩手県産の食材を使っていて、生産者さんのところに行って自分で収穫させてもらって仕入れることもあります。お客様にまた来たいと思っていただけるように、自分でも何度も試食して、美味しいと思ったものを厳選してお出ししています」

朝食には野菜や豆腐、納豆、卵など一関産のものを使っているほか、八幡平産サーモンや岩泉ヨーグルトなど、県産にこだわった豪華な和食のお膳が出てきます。そのどれもが美味しく、満足度が高いものになっています。

宴会や法事、結婚式など、地元の人たちもよく利用するホテルだからこそ、自然と地元の人たちと関わり、長くお付き合いしていくことになると菊池さんは話します。時にはお客様に飲みに連れて行ってもらうこともあるそうです。ホテルスタッフとお客さんの壁を超え、同じ地域に住む同士としての深い関わりがあるように感じます。

「何か困ったことがあった時に、気軽に声をかけてもらえる存在でいたいです。地元にずっとあるベリーノホテルだからこそ解決できることがあると思うし、普段からお客様とコミュニケーションを取れているからこそ、柔軟に対応できると思います」

 

挑戦することで成長し、スキルを自分のものに

ベリーノホテルのホームページは、若手社員の方が独学で一から作ったものなのだそう。掲載されている写真も、社員の方が撮影したものを使用しています。そのクオリティの高さは、初めて作ったとは思えないほどの仕上がりです。

「社内でサイトを作ったことで、写真やテキストを差し替えたい時はいつでも修正できるんです。専門業者にお金を払って作るのは簡単ですが、せっかくなら一度社員に挑戦して見てほしいと思って頼みました。『出来なかったら業者に頼めばいいから』って。そしたら頑張ってあのクオリティのものを仕上げたんですよ」

「社員に挑戦させることは大事にしています。私が30代で支配人になったのも、チャレンジの一環ですしね。失敗してもいいんです。そこで学んだことは、たとえここを辞めたとしても次の職場で生かせるはず。うちを教育の場として過ごしてもらえたらと思っています」

挑戦することで人は成長する。それを経験してきた菊池さんだからこそ、社員の皆さんの成長を心から願って挑戦の場を与えてあげられるのだと思います。

 

社員同士の細かいコミュニケーションが上質なサービスにつながる

フロントスタッフに勤務している入社5年目の舞草れいなさんは、高校卒業後の進路選択の時に企業見学でこのホテルに訪れたことをきっかけに入社しました。

「綺麗なホテルで、チャペルや式場も素敵で、かっこよくて。ここで働きたいなと思いました。もともとホテル業界に興味があったので、専門学校に行くことも考えたのですが、実践の場で経験を積もうと卒業後にすぐに入社しました」

お客様と接したり、先輩の仕事を見たりするうちに、少しずつできることが増えていったという舞草さん。分からないことがあればすぐに相談できる環境で、プライベートな話もできるので楽しく働いているといいます。

2021年10月からはフロントの主任を任され、新しい仕事に戸惑いもありましたが、進めていくうちにやりがいを感じ、視野を広く持てるようになりました。

「今までは支配人に指示を仰いでいましたが、自ら積極的に業務を行うことが増えました。今後はみんなが円滑に仕事を進められるように、スタッフ一人ひとりと普段からコミュニケーションをとって、相談してもらえる関係性を築きたいです」

舞草さんのきれいで明るい話し方や、マスクの上からでも伝わる笑顔は、お客様の気持ちを晴れやかにするような魅力があります。

「自分が行ったサービスに対して『ありがとう』と言われると嬉しいですね。常連の方が顔を覚えてくださっていて、お客様の方から話しかけてくださることもあって。体力的にハードな面もありますが、お客様と接する中で感じられるやりがいはかなり多いです」

ホテルの顔となるフロントスタッフとして、お客様に心地よく過ごしていただけるように努めたい。その思いはきっとお客様に届いてます。

 

東京に出たからこそ気づいた一関の魅力

「なんで戻ってきたんでしょうね。多分、恋しくなったんですかね」

副支配人でありウエディングプランナーの千葉友美さんは、一関市東山で生まれ育ち、高校を卒業後に東京へ出て、ホテルで働きながら専門学校でブライダルを学びました。そのまま東京のホテルで仕事をして10年が経ち、20代後半で地元に戻って来ました。

「実は入社する前、『田舎のホテルなんて』って、ちょっと下に見てたところがあったんですよ。東京から戻ってきたばかりで強気だったんですよね(笑)でも実際に入ってみたら、『あれ?私が思ってたより良いじゃん!』って。当時は上から目線で思ってました(笑)」
「入社当初は、東京との結婚式のギャップに驚きました。とにかく式の内容が濃いし時間もたっぷりかけるんです。今では田舎だからこそお客様との距離が近くて、密なコミュニケーションがあって楽しいと思っています」

千葉さんは結婚式を「ありがとうを形にする場」だといいます。親族に普段はなかなか伝えられない感謝の気持ちを伝えられる大切な場。一生に一度の式を思い出に残るものにするために、ウエディングプランナーとしてご夫婦と一緒に式を作り上げています。

「それぞれのお客さんにそれぞれの思いがあるので、お二人の思いを会話から引き出して、それに沿った提案をしたいと思っています。同じような演出があったとしても、まったく同じ流れになる式はないので、毎回新鮮です」

ベリーノホテルでは、結婚式をした方に1周年記念のディナーにご招待しています。その時に生まれたばかりのお子さんを連れてくる方や、妊娠の報告をしてくださる方もいるそうです。

「この場所がある限り、お客様との繋がりがずっとある。それがとても嬉しいです。10年前にここで結婚式をした方がいらしてランチのついでに『会場見てもいいですか?』と声をかけてくださったこともあります。先日は高校生が職場見学に来ていて、引率の先生が『先生もここで結婚式したんだよ』と言って生徒さんたちが驚いていました。時を超えて思い出で繋がっている感じがして、良いなと思います」

また、一度地元を離れて広い世界を見たことで、生まれ育った場所の魅力に気づいたそうです。遠方からのお客様に、おすすめの観光地「猊鼻渓」について熱く語ることも。都会で経験を積んだスタッフがいることは、お客様にとっても働くスタッフにとっても心強い存在です。

コロナ禍で挙式や披露宴も減っていましたが、最近になってウエディングの予約が動き出し、プランの準備を始めていると、千葉さんは話します。

「大切な結婚式をコロナ禍で諦めた人もいて、きっと寂しい思いをされたと思います。そういった人たちに、ありがとうの気持ちを伝える場として、ぜひ思い出に残る式を挙げてほしいと願っています」

2022年に30周年の節目を迎えるベリーノホテル。
ここは地域の人たちにとって大切な思い出の地であり、これから先もずっと、たくさんの思い出が積み重ねられていくことだと思います。
このホテルを、みんなの思い出を、ずっと先の未来まで残して守っていく。
ここで働くスタッフの方からは、その使命感を強く感じます。

 

 

(取材:佐藤文香)
※撮影時はマスクを外していただきました。